本学園は、明治25(1892)年5月に学園創設者の玉木リツ先生によって設立された「長崎女子裁縫学校」を嚆矢としています。明治25年当時、我が国の地方都市では女子教育はおろか、義務教育も完全には整備なされておらず、そのような時代の中で長崎初となる女性のための実業学校として長崎市磨屋町に築かれた裁縫学校は、世人の注目を一身に集めたのではなかろうかと容易に想像ができます。
その後、「長崎女子裁縫学校」は「玉木女学校」や「玉木高等実践女学校」など名称変更を経ながら発展し、第二次大戦後は新学制により「玉木女子高等学校」へと変貌を遂げました。また、昭和28(1892)年には被服学を学ぶ「玉木女子短期大学」を開校。日本の高度経済成長や人口増加と軌を一にして、食物科、幼児教育学科など新たな学科も追加し、拡大しながら常に長崎の女子教育を先導して参りました。
男女共同参画社会実現への声が高まりつつあった平成19(2007)年からは学園名を「玉木学園」と改称。平成7(1995)年に、近い将来日本が直面する超・高齢化社会の到来を見据えて開校したリハビリテーションの国家資格者養成校「長崎医療技術専門学校」を含む、本学園が運営するすべての学校を男女共学と致しました。
現在、本学園には理学療法学科と作業療法学科の2学科を有する「長崎医療技術専門学校」のほか、「長崎玉成高等学校」には5年で看護師の国家資格受験資格を得ることができる衛生看護科、同じく国家資格である介護福祉士の資格取得を目指す医療福祉科、卒業と同時に調理師の国家資格を有することができる長崎市内で唯一の調理科と、さらには人との関わり合いを通じて共に育つことを重んじる普通科共育コースの4学科があり、学び舎では日々学生や生徒が蛍雪の功を積んでおります。また、「長崎玉成高等学校」への進学を前提とした「長崎玉成高校附属中学部」も平成29(2017)年に設置。安心して通える学校だという評判は九州を超え、本州以北からの問い合わせも増えております。
明治・大正・昭和・平成・令和という五つの時代において幾多の困難を克服しながら歩んできた本学園は、令和4年(2022)年5月15日に節目となる創立130周年を迎えます。長崎の地において歴史を刻むことができている所以は、長きにわたって地域の皆さまから温かいご支援やご教示を賜りましたお蔭であると心から感謝申し上げます。
少子高齢化に伴い、教育機関を取り巻く環境は非常に厳しい状況にありますが、いずれの学科でも個性ある取り組みが生徒や保護者に評価され、高い定員充足率を誇っております。令和4年(2022)年4月には、旧長崎玉成短期大学の校舎を改築し、入学者の増加が著しい高等学校と附属中学部の新校舎として利用することが決定しました。
130年前に「長崎女子裁縫学校」から始まった玉木学園は、時代に応じて様々な花を咲かせながら、社会に豊かな実を実らせてきました。これは、いかなる時代においても、建学の精神である「誠実勤勉・明朗細心・敬愛謙譲」を拠り所として、社会が求める人材を輩出するという実学尊重の精神を柱としてきたからに他なりません。
これからも本学園に集う全ての人々が、各々の夢を実現し、豊かな未来を創造することができるよう、教職員一同、一丸となって邁進する所存でございます。
令和3年(2021年)12月
小雪の舞う長崎港を眼下に望みながら
学校法人玉木学園
理事長 鬼塚謹吉
1892年~ | 明治25年5月15日 | 長崎女子裁縫学校が玉木リツによって長崎市磨屋町12番地に創立 |
明治32年7月5日 | 長崎市麹屋町27番地に移転 | |
1900年~ | 明治39年3月1日 | 私立玉木女学校と改称 |
1910年~ | 大正5年4月1日 | 長崎市伊勢町35番地に移転 |
1920年~ | 大正10年10月15日 | 長崎市愛宕町1番地に移転 |
昭和4年4月 | 校歌が選定された | |
1930年~ | 昭和9年4月1日 | 玉木女学校と改称 |
1940年~ | 昭和18年11月25日 | 財団法人を設立し、玉木高等実践女学校と改称 |
昭和19年2月4日 | 玉木リツ校長死去 | |
昭和22年4月1日 | 玉木中学校設立 | |
昭和23年4月1日 | 玉木高等実践女学校を改め玉木女子高等学校を設立、被服科を設置 | |
1950年~ | 昭和26年3月10日 | 学校法人を設立し、玉木女子学園と改称 |
昭和27年4月1日 | 玉木女子高等学校に普通科、商業科を設置 | |
玉木幼稚園設立 | ||
昭和28年4月1日 | 玉木女子短期大学開学、被服学科を設置 | |
昭和28月10月 | 第1回ファッションショー開催 | |
1960年~ | 昭和38年4月1日 | 学短期大学食物学科増設 |
昭和41年4月1日 | 高等学校に衛生看護科を設置 | |
昭和44年4月1日 | 短期大学被服科を被服学科、食物科を食物栄養学科と改称 | |
昭和44年9月1日 | 短期大学、長崎市風頭町1番33号に移転 | |
1970年~ | 昭和50年4月1日 | 短期大学に幼児教育学科増設 |
1980年~ | 平成元年4月1日 | 高等学校衛生看護専攻科新設 |
1990年~ | 平成5年2月19日 | ますみ記念館落成式 |
平成5年4月1日 | 高等学校に福祉科を設置、被服科を総合服飾科に改称 | |
幼稚園が「ますみ記念館」内の新園舎に移転 | ||
平成5年5月15日 | 創立100周年記念式典挙行 | |
平成7年4月1日 | 長崎医療技術専門学校開校・理学療法学科新設 | |
平成9年4月1日 | 専門学校に作業療法学科設置 | |
2000年~ | 平成17年3月31日 | 玉木中学校閉校 |
平成17年4月1日 | 玉木中学校閉校 | |
専門学校に歯科衛生学科設置 | ||
平成19年4月1日 | 法人名を学校法人玉木学園に改称 | |
長崎玉成短期大学、長崎玉成高等学校、長崎玉成短期大学附属幼稚園と改称 | ||
男女共学となる | ||
2010年~ | 平成22年4月1日 | 高等学校に普通科総合コース・共育コース設置 |
平成24年3月31日 | 長崎玉成短期大学閉学 | |
平成24年4月1日 | 高等学校、長崎市愛宕1丁目29番41号へ新校舎完成・移転 | |
長崎玉成幼稚園と改称 | ||
平成27年3月31日 | 長崎玉成幼稚園閉園 | |
平成28年4月1日 | 高等学校福祉科を医療福祉科に改称 | |
平成29年3月13日 | 屋内運動場竣工式 | |
平成29年4月1日 | 長崎玉成高等学校附属中学部開校 | |
高等学校に普通科医療系進学コース設置 | ||
平成29年5月15日 | 創立125周年を迎える | |
平成30年3月31日 | 専門学校歯科衛生学科閉科 | |
平成30年4月1日 | 高等学校に調理科を設置 | |
2020年~ | 令和2年3月31日 | 高等学校生活技術科閉科 |
令和4年4月1日 | 旧長崎玉成短期大学校舎を改築した、高等学校及び附属中学部新校舎が完成 | |
令和4年5月15日 | 創立130周年を迎える |