創立20周年記念行事

創立20周年を迎え記念企画として、講演会、祝賀会(功労者表彰も含む)、記念誌発刊等を行いました.趣旨は「創立以来の20年間、本校の発展に尽力された本校・学園関係者、支援して頂いた専門学校・関連協会、非常勤講師、病院・施設等の皆様、及び卒業生に感謝申し上げると共に、これからの10年に向けて教職員の決意を新たにする機会とする.地元の皆さんにも、メディアを通じて講演会への参加を呼びかけながら、創立20周年のPRもする」というものです.

平成27年5月30日(土)15時30分より17時30分まで、「ますみ記念館」大ホールで行い、聴講者は学生が約170名、外部より30数名が参加しました.
お二方の演者を招請し、お一人は元長崎大学学長の齋藤 寛先生であり、テーマは「日本の高齢者の医療」、もう一方は整形外科医師の小原和宏先生で、テーマは「学生スポーツとトップアスリートに対するスポーツドクターの関わり」として、それぞれ一時間、ご講演して頂きました.

釘宮校長を座長に行われた齋藤先生の講演内容は、現在日本の医療が抱えている問題点を世界的な制度の現状と比較する形で浮き彫りにするものであった。世界一の高齢化率を誇る日本の医療制度であるが、自己負担率は諸外国に比して低いにも関わらず国民の満足度は低い.税金は比較的安く、公費負担分を考慮するとこのままでは破綻する危険性がある.消費税を上げるなど対策を取らなければ減りつつある若者への負担が大きくなるという問題提起をされるものであった.

小原先生の講演は賀村先生を座長に行われ、プロスポーツにおけるスポーツドクターのより具体的な視点から、医療系の学生向けにスポーツリハビリテーションの意義を分かりやすく提示して頂いた.スポーツ現場では検査機器を持ち込むことができないため、問診と触診だけで即時に判断し、対応しなければならなず、解剖学や生理学の知識が不可欠であることなど、自身の経験を踏まえてその重要性を論じられた.いずれの講演も学生の感想としては良好で、小原先生に対して後日、複数の学生からメールで好意的な感想が寄せられたという.

大所高所から日本の医療制度の問題を提示する、また一方はスポーツリハビリテーションの最先端の現場という両極のテーマであったが、双方ともに刺激的な内容であり、記念行事に相応しい企画になった.
<講演要旨>

講演1 「日本の高齢者の医療」  前長崎大学学長 齋藤 寛 先生

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現在、日本は世界一の長寿国ですが、単に生きているだけではなく、自立して生活できる期間の指標となる「健康寿命」が大事です。WHOによると日本が74.5歳で世界トップです.WHOは日本のこの成果は世界に例を見ない国民皆保険制度を有しているからであり、健康に関して日本は世界でベストの国だと評価しています.ところで、世界一の健康を享受している日本人は医療費を幾ら払っているでしょうか.日本はOECD加盟国の中では最も安いのです.GDPの中で医療費が占める割合は、日本は7%です.一番高いのは米国で、15%です.後期高齢者(75歳以上)医療制度について紹介します.医療給付費の5割を公費(公助)で、4割を64歳以下の現役世代の医療保険(共助)で、残り1割を高齢者で負担(自助)しています.75歳以上の後期高齢者の年間医療費をみると、長崎市は日本で最も高い地域のひとつですが、1人当たり年104万円です。高齢者の負担率は1割で残りは市町村や健保組合からの拠出金と税金です.今のままの制度なら、高齢者がどんどん増えるこれからの日本は国民皆保険制度が破滅することが必至です.税金から出すといっても、実際は国債発行に頼っているわけで国の借金がふえるばかりです.高齢者の自己負担割合を1割から2割にしようという話が出ていますがどうなりますか。消費税を上げて、その全額を社会保障に回すことを考えるべきでしょう.これからの日本を担う若い世代に希望を持ってもらえる医療制度について皆さんと一緒に考えてみます.

講演2 「学生スポーツとトップアスリートに対するスポーツドクターの関わり」
旭川医科大学 脳機能医工学研究センター・整形外科学講座兼務 小原 和宏 先生

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今回は、私自身が、スポーツ医学を志すまでのお話と、スポーツ医学に必要な演者が個人的に工夫した知識やテクニックを皆様に提供したいと考えています.前半では、若い皆様には是非夢を持って頑張っていただきたい旨をお話ししいます.なぜならば、スポーツ選手は、「オリンピックのメダル」「地区大会優勝」といった「夢」を目標にしています.ですから、夢を目標にしている選手をサポートする人も是非夢を持つべきであろうと思っております.さて、医学の話をしようとすると、医療知識まだ半ばの学生にとっては難しい話が多々出てくるかと思います.そこで、なかなか億劫で手につかない解剖学や生理学が将来どのように臨床医学として役立つかをお話ししていきます.そして、スポーツ医学を現場で提供する際には、病院の機材はありませんので、「問診と触診」だけで選手に対応することになります。講演では、触診のためにはどのような知識が必要か?そしてどのような工夫が必要かをお話ししたいと思っています.